タクティール®ケア

「手の持つ力」の可能性を学んで活かす教育プログラム

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教育プログラム
JSCI認定タクティール®ケアⅠ
セラピスト
JSCI認定タクティール®ケアⅠ
インストラクター

利用者の声

施術を受けた人の感想

タクティール®ケアを体験して

千葉県在住 永井 香さん

関節リウマチを発症して9年め、薬も体質に合わず在宅療養をしています。手足の関節に炎症や変形があります。痛みと腫れ、熱感があり、気温が高くなると手足の先に血管痛のような焼け付く痛みが加わります。また筋肉のこわばり、疲労感、首や背骨の変形などにより日常の動作に支障があります。あまり知られていませんがリウマチなどの膠原病は免疫の異常と共に自律神経症状も現れます。のぼせや立ちくらみ、冷えや発汗、不眠や食欲低下など様々です。

タクティール®ケアは触れるケアです。自分の手で届かない背中を撫でてもらうのは気持ちがいいのですが、手に触れられるのは初め少々緊張しました。指先がうっかりどこかにぶつかっても、息が止まるほど痛いのです。歓迎の握手をされて痛さのあまり泣きそうになった事が何度かあり、人から不用意に触られたくないというのが本音でした。
そんなわけで初めて手のタクティール®ケアを受けた時、最初の驚きは「え?全然痛くない!」ということでした。痛みが消えるとか和らぐという以前に「指の1本1本まで触られているのに痛くない!」という驚きは、もともと痛みの無い人には伝わりにくい感想かもしれません。私は左手首の炎症が強く、普段ちょっと動かしても痛いので、最後に掌を表から裏に返す場面で「これは痛いはず」と覚悟したのに全く痛くなかったので思わず口に出したくらいです。

それからは安心して手を任せるようになりました。最初ちょっとでも痛かったらとてもリラックスどころではなかったでしょう。逆に緊張して体がこわばったり、やんわり理由をつけてお断りしていたと思います。リラックスしていると雑念が消えて、撫でられている指先に感覚が集まってきます。そして相手の手を通じて色々な事に気付かされます。例えば自分の手の所在を実感します。指の1本1本をゆっくり丁寧に撫でられると、これまで「痛い」という感覚で一括りになっていた肘から下全体が、きちんと左右5本ずつの指に分かれているという当たり前の感覚を取り戻します。

他にも不思議に感じたことがいくつもあります。私は炎症の度合いによって左右の手の温度、熱感がかなり違います。炎症以外でも自律神経症状で背中が急に熱くなって汗が出てきたり、足先が異常に冷えて、やはり極端に左右差があったりします。タクティール®ケアをする時、今日は手足が焼け付くように熱いから触られたくないな、と思っていると、意外にも触れる手がひんやりとして心地よく、撫でられているうちにすっと灼熱感が消えていきます。夏は手足に保冷剤を載せないと眠れないほどの熱感と血管痛ですが、タクティール®ケアの最中は撫でられている部位に限って痛みが消えます。今日は冷えているな、と思うと触れた手が驚くほど温かくて、足などは撫でているだけなのに足浴をしているような心地良さです。それは本人と施術者の手に温度差があるから当然だろうと思われるかもしれませんが、私のように全身の部位によってかなり熱のばらつきがある場合、同じ人から施術されているので不快に感じる部位があってもおかしくないはずです。でも、冷えた背中は温かく、熱い手先はひんやりと、まるで掌に温度センサーがついていてちょうど良い設定に変換しているのではないかと思うほどです。私はその場で感想を言ってしまいますが、同じ事を施術者も感じていて、不思議ねえ〜と顔を見合わせる場面が何度もありました。
関節リウマチなので痛みがメインだろうと思われがちですが、自律神経症状や倦怠感に悩まされる人が多いのです。私は子供の頃から睡眠障害があり、胃腸が弱くて冷え性でした。肩凝りやめまい、立ちくらみもしょっちゅうでした。それらの症状が年々ひどくなってリウマチを発症しているので、もともと自律神経失調があったのだと思います。

正直な所、タクティール®ケアの即効性を実感したのは手ではなくて最初の背中からでした。背中を撫で始めて数分でお腹がゴロゴロ鳴り始めました。恥ずかしいと思ってお腹に力を入れても止まりません。それから何度か同じようなことがあって、3回目くらいからはっきりと食欲が出てきました。リウマチを発症してからは痛みで食欲が落ち、体重も8kgほど減っていました。ずっと家に居て最低限しか動かないので、空腹感を感じる事もありませんでした。ですが最近ではちゃんと「お腹が空いた!」と自覚します。お腹が空いて食べるのと、仕方なく食べるのとは全く違います。私はお腹を撫でたり温めたりする事はしょっちゅうしていましたが、背中を撫でることにこんな効用があるとは予想していませんでした。

回数を重ねるうちに信頼や安心感が芽生えてくるのでしょう。リラックスして施術中に一瞬眠ってしまうこともありました。基本的にケア中はお喋りをしません。撫でられている心地よさに身を委ねていると、呼吸がゆっくりになって自然と目が閉じてきます。私は普段、ベッドに入っても数時間眠れないので入眠剤に頼ることが度々あります。場所が変れば絶対と言えるほど眠れません。それなのにものの数分で意識が飛びそうになったのには驚きました。そんな時は施術している側も眠くなるそうで、一瞬手が止まってしまったと後から言われましたが全く気が付きませんでした。二人とも同時に眠っていたのかもしれません。

これは余談ですが、タクティール®ケアを通じて三十年ぶりに学生時代の先輩や後輩と再会する機会が増えてきました。体験してみたい、習ってみたい、という動機もありますが、懐かしい人と話したいという単純な理由で集まったりします。ワイワイとお喋りしながら、ちゃぶ台を囲んで手料理を堪能します。私は部屋を提供するだけですが、たまには何か作ってみようか、玄関が寂しいから何か飾ってみようか、お花を買いに行こうかな、と気持ちが外に向くようになりました。独りで自宅療養をしていると、体も心も痛みに閉じ込められてしまいます。誰かが気にかけてくれている、そして癒そうと手を当ててくれるという体験が、痛みに出口を与えてくれます。痛みは消えませんが感謝が増えます。看護学生の頃「(患者さんの)不快を減らせないなら快を増やしなさい」と教えられました。快適でポジティブな刺激によって、痛みに伴うネガティブな体験が薄まってゆく…ゲートコントロールという言葉の意味を、今まさに体験している気がします。

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